AIで自分だけの最強EAをつくろう
「自動売買に興味はあるけど、プログラミングができない」——そんな方にとって、今がEA開発を始める最高のタイミングです。
筆者は2024年からEAの作成にAIを利用してきました(元々プログラミングの知識はありません)。当時は「作りたいのにどうしても解消できないエラー」に何度も阻まれていたのですが、2025年後半あたりから状況が一変。作りたいEAが一気に形になるようになりました。
AIの進化の速さを肌で感じるうちに、「この先、いろんな仕事がAIに置き換わっていくんだろうな」と意識するようになりました。
ですが、ご安心ください。仕事がなくなっても、マーケットはなくなりません。株もFXも、AIと同じ土俵で戦える数少ないフィールドです。
今のうちに、最強の自動売買システムを作っておきましょう。
ChatGPT・Claude・Geminiといった最新AIに「こういう条件で売買したい」と日本語で伝えるだけで、MT4で動くEAのコードが手に入ります。もはやMQL4の文法を暗記する必要はありません。
この記事では、AIを使ったEA自作の全体像と、今日から始めるためのステップをご紹介します。
EA(エキスパートアドバイザー)とは
MT4/MT5上で動く自動売買プログラムのことです。チャートにアタッチしておけば、設定した売買条件に従って24時間自動でトレードしてくれます。
従来のEA開発には以下の知識が必要でした。
- MQL4/MQL5の文法
- MT4の組み込み関数の使い方
- コンパイルエラーのデバッグ
AIを使えば、これらをすべてAI側に任せられます。私たちがやることは「どんな条件で売買したいか」を言葉にすることだけです。
必要なものは3つ
| 必要なもの | 備考 |
|---|---|
| AIツール | ChatGPT Plus・Claude Pro・Geminiなど。無料枠でも始められます |
| MT4 / MT5 | 国内FX業者で口座を開設すれば無料で入手できます |
| TradingView | インジケーターの動きを確認するのに便利です。無料プランでOK |
TradingViewに関しては、もともとトレードの経験がある(勝ちパターンを持っている)なら、必要ないかもしれませんが、私としては欠かせないツールだと思っています。
TradingViewは世界中のトレーダーが利用しているチャート分析プラットフォームです。最大の魅力は、コミュニティが公開している10万以上のインジケーターにアクセスできること。RSIやMACDといった定番はもちろん、機械学習ベースの分析やカスタムシグナルなど、個人では到底作れないような高度なインジケーターも無料で試せます。気になったインジケーターの売買条件をそのままAIに渡せば、EAの土台になります。
EAにおいて最も重要なのは売買条件の設定です。特定の価格の動きをベースに売買条件を決めるのですが、インジケーターというのは着目したい価格の動きを可視化したものなので、それを応用すればそのまま売買条件にできるというわけです。
初めてEAを作る場合は、簡単なインジケーターを使用したものを作ってみるとイメージしやすいと思います。
やることはこれだけ
1. 売買条件を日本語で書く
普段トレードしている方なら、自分のエントリー根拠をそのまま言葉にするだけです。
良い例:
RSI(14期間)が30以下になったら買い、70以上で決済。ストップロスは20pips。ロットは0.1固定。
悪い例:
RSIで良い感じにエントリーしたい
できるだけ具体的に、数値を含めて書くのがコツです。曖昧な指示だとAIが勝手に補完してしまい、意図しない動作になりやすくなります。
言語化のコツは「インジケーターの売買条件をEAに落とし込む考え方」にまとめています。
2. AIに渡す
条件が決まったら、AIにそのまま渡します。
MT4用のEAをMQL4で書いてください。
通貨ペア:USDJPY
時間足:1時間足
エントリー条件(買い):
- RSI(14)が30以下になったとき
決済条件:
- RSI(14)が70以上になったとき
リスク管理:
- ストップロス:20pips
- ロットサイズ:0.1固定
- 同時に持つポジションは1つまで
これをChatGPTやClaudeに貼り付けるだけで、MT4で動くコードが返ってきます。通貨ペア・時間足・リスク管理を書いておくのがポイントです。
3. バックテストで確認する
生成されたコードをMT4のMetaEditorに貼り付けてコンパイルし、ストラテジーテスターで過去データの成績を確認します。プロフィットファクターが1.0以上なら、ひとまず期待値はプラスです。
たったこれだけです。 コードは1行も自分で書いていません。
実際にAIが生成したコードを見てみよう
「本当にそれだけで動くの?」と思う方もいると思います。
もう少し本格的なプロンプト——移動平均線のクロス+RSIフィルターの条件でAIに渡してみた例をお見せします。
あなたはMQL4のエキスパートプログラマーです。
以下の仕様に従って、MT4で動作するEAをMQL4で作成してください。
## EA名
SimpleMA_RSI_EA
## 売買条件
### 買いエントリー(すべて満たした場合)
- 20期間SMAが50期間SMAを上抜け(ゴールデンクロス)
- RSI(14期間)が30以下
### 売りエントリー(すべて満たした場合)
- 20期間SMAが50期間SMAを下抜け(デッドクロス)
- RSI(14期間)が70以上
### 決済条件
- ストップロス: 100pips
- テイクプロフィット: 200pips
- 反対シグナルが出たら既存ポジションを決済して新規エントリー
## パラメータ(外部変数にして最適化可能にする)
- FastMA_Period = 20
- SlowMA_Period = 50
- RSI_Period = 14
- RSI_BuyLevel = 30
- RSI_SellLevel = 70
- StopLoss = 100(pips)
- TakeProfit = 200(pips)
- LotSize = 0.1
- MagicNumber = 12345
## 技術要件
- 同時に1ポジションまで
- マジックナンバーでポジション識別
- クロスの判定は前回足と現在足の比較
- 日本語コメント付き
完全なコードを出力してください。
これをClaudeに渡して出力されたコードがこちらです。
//+------------------------------------------------------------------+
//| SimpleMA_RSI_EA.mq4 |
//| AIが生成した移動平均線+RSIの自動売買EA |
//+------------------------------------------------------------------+
#property copyright "AI EA Lab"
#property version "1.00"
#property strict
//--- 外部パラメータ(MT4の設定画面から変更可能)
extern int FastMA_Period = 20; // 短期移動平均の期間
extern int SlowMA_Period = 50; // 長期移動平均の期間
extern int RSI_Period = 14; // RSIの期間
extern int RSI_BuyLevel = 30; // RSI買いレベル
extern int RSI_SellLevel = 70; // RSI売りレベル
extern int StopLoss = 100; // ストップロス(pips)
extern int TakeProfit = 200; // テイクプロフィット(pips)
extern double LotSize = 0.1; // ロットサイズ
extern int MagicNumber = 12345; // マジックナンバー
//+------------------------------------------------------------------+
//| EA初期化時に呼ばれる関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
int OnInit()
{
Print("SimpleMA_RSI_EA が起動しました");
return(INIT_SUCCEEDED);
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| EA削除時に呼ばれる関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnDeinit(const int reason)
{
Print("SimpleMA_RSI_EA を停止しました");
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ティックごとに呼ばれるメイン関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTick()
{
// --- 移動平均線の値を取得 ---
double fastMA_current = iMA(NULL, 0, FastMA_Period, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 0);
double fastMA_previous = iMA(NULL, 0, FastMA_Period, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 1);
double slowMA_current = iMA(NULL, 0, SlowMA_Period, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 0);
double slowMA_previous = iMA(NULL, 0, SlowMA_Period, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 1);
// --- RSIの値を取得 ---
double rsi = iRSI(NULL, 0, RSI_Period, PRICE_CLOSE, 0);
// --- クロス判定 ---
bool goldenCross = (fastMA_previous <= slowMA_previous) && (fastMA_current > slowMA_current);
bool deadCross = (fastMA_previous >= slowMA_previous) && (fastMA_current < slowMA_current);
// --- 買いシグナル ---
if(goldenCross && rsi < RSI_BuyLevel)
{
ClosePositions(OP_SELL);
if(!HasPosition(OP_BUY))
{
double sl = Ask - StopLoss * Point * 10;
double tp = Ask + TakeProfit * Point * 10;
int ticket = OrderSend(Symbol(), OP_BUY, LotSize, Ask, 3, sl, tp,
"MA+RSI Buy", MagicNumber, 0, clrBlue);
if(ticket < 0)
Print("買い注文エラー: ", GetLastError());
else
Print("買いエントリー: チケット#", ticket);
}
}
// --- 売りシグナル ---
if(deadCross && rsi > RSI_SellLevel)
{
ClosePositions(OP_BUY);
if(!HasPosition(OP_SELL))
{
double sl = Bid + StopLoss * Point * 10;
double tp = Bid - TakeProfit * Point * 10;
int ticket = OrderSend(Symbol(), OP_SELL, LotSize, Bid, 3, sl, tp,
"MA+RSI Sell", MagicNumber, 0, clrRed);
if(ticket < 0)
Print("売り注文エラー: ", GetLastError());
else
Print("売りエントリー: チケット#", ticket);
}
}
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| 指定タイプのポジションを持っているか確認 |
//+------------------------------------------------------------------+
bool HasPosition(int type)
{
for(int i = OrdersTotal() - 1; i >= 0; i--)
{
if(OrderSelect(i, SELECT_BY_POS, MODE_TRADES))
{
if(OrderSymbol() == Symbol() && OrderMagicNumber() == MagicNumber && OrderType() == type)
return true;
}
}
return false;
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| 指定タイプのポジションを全決済 |
//+------------------------------------------------------------------+
void ClosePositions(int type)
{
for(int i = OrdersTotal() - 1; i >= 0; i--)
{
if(OrderSelect(i, SELECT_BY_POS, MODE_TRADES))
{
if(OrderSymbol() == Symbol() && OrderMagicNumber() == MagicNumber && OrderType() == type)
{
double closePrice = (type == OP_BUY) ? Bid : Ask;
bool result = OrderClose(OrderTicket(), OrderLots(), closePrice, 3, clrYellow);
if(!result)
Print("決済エラー: ", GetLastError());
}
}
}
}
AIの出力は毎回少し異なりますが、プロンプトが同じなら同等のEAが生成されます。ぜひご自身でもAIに頼んで作ってみてください。
コードの中身(気になる方だけどうぞ)
「中身を理解しなくても動く」のがAI時代のEA開発ですが、ざっくり知っておくと応用が利きます。
外部パラメータ
extern int FastMA_Period = 20; // 短期移動平均の期間
extern int SlowMA_Period = 50; // 長期移動平均の期間
extern を付けた変数は、MT4の設定画面から数値を変更できます。ストラテジーテスターで最適化する際にも、これらのパラメータを自動で変えながらテストできます。
売買ロジック
bool goldenCross = (fastMA_previous <= slowMA_previous) && (fastMA_current > slowMA_current);
「前の足では短期MAが長期MAの下にいた」かつ「今の足では上にいる」= ゴールデンクロス。これにRSIフィルターを組み合わせて、買いシグナルとしています。
マジックナンバー
if(OrderSymbol() == Symbol() && OrderMagicNumber() == MagicNumber && OrderType() == type)
マジックナンバーで自分のEAが出した注文だけを識別します。複数のEAを同時に動かしても混同しません。
AIにうまく伝えるコツ
プロンプトの書き方で、出力の質は大きく変わります。意識するのは以下のポイントです。
- 通貨ペアと時間足を明示する
- エントリー条件と決済条件を分けて書く
- パラメータ化したい値を指定する(ロット数、損切り幅など)
- 「MQL4で」「MT4のEAとして」とはっきり伝える
特に「MQL4で」の一言があるかないかで、出力の正確さがかなり変わります。
うまくいかないときの対処法
コンパイルエラーが出る → エラーメッセージをそのままAIに貼り付けて「このエラーを修正してください」と伝えましょう。大抵は1回のやりとりで解決します。
バックテストの成績が悪い → 条件を変えて何度でも試せます。パラメータの微調整も「RSIの期間を14から21に変えてください」とAIに頼むだけでOKです。
バックテストとリアルの成績が乖離する → スプレッドやスリッページの影響が考えられます。「スプレッド2pips・スリッページ1pipsを考慮して修正してください」と指示してみてください。
エラー対応のプロンプト集は「MQL4エラー対応プロンプト集」にまとめています。
どのAIを使うべきか
| AI | 向いている用途 |
|---|---|
| ChatGPT(GPT-4o) | MQL4コードの初回生成。出力が安定していて、最もユーザーが多いです |
| Claude(Sonnet / Opus) | 長いコードの修正やリファクタリングが得意。コンテキスト理解が深いです |
| Gemini | 無料枠が広いので、まず試してみたい方におすすめです |
1つに絞る必要はありません。ChatGPTで雛形を作り、Claudeで仕上げるといった使い分けが実戦的です。
AI別の詳しい比較は「Claude Code vs ChatGPT:EA開発に使えるのはどっち?」をご覧ください。
ここまでの流れで自力実装は十分可能ですが、実際には「生成コードのエラー修正」「細かな仕様の詰め」「MT4/MT5への反映作業」に時間を取られやすいです。
本サイトで全体像と判断軸を押さえつつ、作業効率を上げる部分は専用プロンプトを道具として使うのが、最短ルートになりやすいです。
まとめ:小さく作って、回していこう
最新AIの登場で、EA開発のハードルは劇的に下がりました。「プログラミングができないから」という理由でEAを諦める時代は終わっています。
やることはシンプルです。
- 売買条件を日本語で書く
- AIにコードを生成させる
- バックテストで検証する
- 改善して再テスト
完璧なEAを最初から作る必要はありません。シンプルな条件1つから始めて、このサイクルを回していくことが、自分だけの「最強EA」への最短ルートです。
今回のサンプルEAも、移動平均線の部分をご自身が普段使っているインジケーターに差し替えるだけで、オリジナルEAになります。
もしくは、AIにいろいろなデータを与えれば、独自の戦略を考えてくれるかもしれません。
可能性は無限大です。
ステップアップガイド
「実際にやってみたい」という方は、以下の順番で進めるとスムーズです。
| ステップ | 記事 | 学べること |
|---|---|---|
| Step 0 | この記事 | EA開発の全体像を知る |
| Step 1 | 【初級編】ボリバン+移動平均線でEAを作ってみよう | 自分で条件を考えてAIに伝える |
| Step 2 | 【中級編】説明できないインジでもEA化できる | Pine ScriptをAIに丸投げして複雑なインジをEA化 |
Step 1で「自分の言葉で伝えればEAが作れる」を体験し、Step 2で「コードを渡すだけで何でもEA化できる」ことを知る——この流れで、EA開発の基本スキルが身につきます。
さらに効率よく、高精度なEAを完成させたい方へ
複数のインジケータを組み合わせた時のロジックの構築方法を含めた、AIによるEA作成の精度を高める専用プロンプトをダウンロードできます。
随時アップデートも行なっています。最速で始めたい方はこちらからプロンプトを受け取ってください。
⚠️ 免責事項: 本記事で紹介するEAは教育目的で作成されたサンプルです。実際の取引で利益を保証するものではありません。EAの運用は必ずデモ口座で十分にテストした上で、自己責任で行ってください。FX取引にはリスクが伴います。
次のステップ
まずデモで動作確認 → OKなら本番運用、が安全です。
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